映画「ばかもの」

絲山秋子原作の映画『ばかもの』

成宮寛貴くんが中学時代に大ファンだった内田有紀さんとラブシーンを演じた時は、空に舞い上がるような気持ちだったのかなぁ~と勝手に想像してしまうほど、ステキな仕上がりになっているのが、「沖で待つ」の作品で第134回芥川賞を受賞した絲山秋子(いとやまあきこ)さんの原作「ばかもの」が映画化された『ばかもの』です。原作「ばかもの」は新潮社から平成22年(2010年)9月29日で、映画『ばかもの』は同年12月に公開となりました。

小説「ばかもの」もとても面白い作品ですが、映像化するにあたって大須秀成(愛称:ヒデ)を演じた成宮寛貴くんは小説の中では10年間が描かれているものを、撮影の時間は短くそして10年間もの期間を自分が演じることが出来るのか不安だったことを話しています。そんな不安が微塵にも感じることのない見事な役柄が高い評価を受けています。

映画『ばかもの』

映画『ばかもの』の監督は怪獣映画でも有名ですが、若手女優キャスティングと演出手腕に定評が高い金子修介監督が務めていて、脚本には高橋美幸が担当しています。『ばかもの』作品で吉竹額子を演じる内田有紀さんは、原作者の絲山秋子さんの世界観がもとから大好きだったとかで、原作の「ばかもの」で自分が演じる額子についても彼女の不器用なところに惹かれるとともに、完璧な人間などいない不器用な額子が人生に起こるいろんなことにつまずきながらも生きていく、そんな強い生命力にも惹かれたと語っています。額子はヒデより8歳年上、そんなヒデがちょぅと勝気でぶっきらぼうだけもストレートな女性の額子と恋に落ちる『ばかもの』は、不器用なふたりの純愛を描いている作品でもあり、むきだしの愛が描かれています。

ヒデと額子、ふたりの「ばかもの」が織り出すストーリーですが、タイトル「ばかもの」という台詞は2回登場します。「ばかもの」でありながらも、懸命に必死に生きるふたりの話はとっても現実的で空想的な美しさなどを求めていないどこにでもありそうな話でもあります。

キャスト

吉竹額子…内田有紀
10年後のシーンでは白髪姿になっています。作品の中ではロングヘアーで複雑なキャラクターを見事に演じています。
大須秀成…成宮寛貴
通称:ヒデ
翔子… 白石美帆
ヒデが額子と別れた後に付き合うこちらもヒデにとっては年上の女性。同じ年上でも額子とは違い清楚でまじめな女性。
山根ユキ… 中村ゆり
ヒデが友人の加藤の結婚式で出会う不思議な女性。最初は将来有望な株のデイトレーダー。
ヒデの母… 浅田美代子
ヒデの母はアルコールに溺れていく息子を心底心配しています。息子がお酒を飲んでテーブルを蹴飛ばしたりする姿を見て心を痛めています。
ヒデの父… 小林隆
ヒデの父親はかなりの酒豪。毎日かなり飲んだくれている。
ヒデの姉… 浅見れいな
弟のヒデが年上の女性にどんどん溺れていく姿を心配する姉。
メグミ…岡本奈月
ヒデの友人加藤の恋人。メグミは学生時代から加藤と付き合い、そのまま結婚する。
加藤…池内博之
ヒデの親友で、同級生のメグミとうまく付き合っている。そのまま結婚するが
中華屋の店主…仁科貴
ヒデがアルコールから立ち直ろうと、断酒グループセラピーを受け長くつらいアルコール依存症を克服してアルバイトとして努めだしたお店のオーナー。
額子の母…古手川祐子
結婚した娘の額子が、結婚してから後に起きた娘の不幸をヒデに話す。

あらすじ①

映画の舞台は群馬県の高崎市です。地元の大学に通うごくごく平均的な19歳の大学生ヒデは、気ままな生活を送っています。ヒデの父親がよくいくお店の「よしたけ」はおでん屋さんですが、父がおでん屋さんに財布を忘れてしまったため、父親の代わりにヒデがおでん屋さんへお財布を取りにいきます。そのときに、おでん屋「よしたけ」で女将の娘、27歳の額子と出会います。

数日後偶然なことに、同じバイト先で働いていたヒデと額子は再会します。ヒデはお酒が飲めませんが、額子に誘われるままお酒を飲みすっかり打ち解け意気投合したふたりですが、その日のうちに額子はヒデを自分の部屋に連れ込んで、額子が強引に奪うかたちでヒデの童貞を奪います。その日からすっかりヒデは、自分より9歳年上の額子の奔放さに戸惑いながらもすっかりのめりこんでしまい、来る日も来る日も額子のアパートへ通うようになり額子からは『サル』と言われるほど、ヒデは額子の身体を求めるのでした。

実はヒデには大学で山根ユキという女性がいますが、山根ユキもヒデと付き合っている感覚もなくヒデの方も山根ユキと付き合っているという意識もなく、ただなんとなく一番近くにいるというとても浅い関係のふたりでした。ヒデの友人加藤は、ヒデが女性との付き合い方にかなり心配している様子ですが、当の本人のヒデはそんな心配をよそに、餃子を買っては額子のアパートに通う毎日です。すっかりヒデは額子にどっぷりとつかっています。

額子と出会って、瞬く間に「女性」と「お酒」を覚えたヒデ。ある日のことですが、近くの公園で額子とヒデのふたりはお酒を飲みます。そしてそのまま額子はヒデを公園の木に縛り付けます。そしてヒデのズボンを脱がしてヒデは一瞬夢の世界に落ちますが、そのあと「私…、結婚するんだ。」という言葉と「遊び意外のなんだっつーんだよっ」という言葉を残して、木にヒデを縛りつけたまま去っていくのでした。

木に縛り付けたまま、一方的にヒデの前から去っていった額子。ヒデは額子を知ってからというもの、どっぷり額子にはまっていただけに突然別れを切り出され、一気に喪失感を味わうことになってしまいます。そしてこの日から、ヒデの転落人生が始まるのでした。

額子からの突然の別れで、ヒデはみるみるうちにアルコールに溺れていきます。親友の加藤と会って話をしている時にも、ビールを飲んでいる有様です。息子を心配する母に対して、テーブルを蹴っ飛ばしたり、実の姉の結婚式の場で醜態をさらしたりと、すっかりアルコール依存症のようです。そして当然ながら、大学も留年してしまいます。

なんとかヒデは地元の家電量販店に就職することになりますが、せっかくした就職先でもアルコールが原因でお酒の匂いを撒き散らしながら出勤したり、飲酒のしすぎで無断欠勤を繰り返し結局会社を辞めてしまいました。

加藤の結婚式で知り合った清楚な年上美人の翔子とも付き合いますが、真面目な性格の彼女との関係もやがて破綻してしまい、遂には飲酒運転で左手を負傷してしまうのでした。

左手を負傷したヒデは、アルコール依存症から脱出するために断酒するために入院することになります。そしてなんとかアルコール依存症から脱出して、ヒデは心機一転を近い中華料理店でバイトすることになりました。

バイト先で熱心に働き、すっかりアルコール依存症から立ち直ったヒデですが、自分は克服したと慢心へとつながります。一生懸命に中華料理店でバイトするヒデを見て、中華料理店の天守はヒデを跡取りにしたいと考えるほどにヒデは働き、その働きぶりが認められていますが、その認めてもらっているという思いと、もうアルコール依存を克服しているし同じことにはならないと楽天的に考えている所を、親友の加藤に指摘されます。

アルコール依存症を克服したヒデには、慢心した心に「隙」が生まれています。かつて同じ大学で同じような大学生活を送っていた加藤は、同級生のメグミと結婚して子どもも誕生しています。そんな加藤と自分を比べ、劣等感を抱いたヒデは再びアルコールに手を出します。

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